copepodaのブログ

観劇、スカステ、DVDなどの感想をつづる。

花組:ハンナのお花屋さん①

発表とビジュアルを見たときはどうしようかと思ったが、どうやら景子先生を誤解していたらしい。
思いがけない良作。


今回のみりお君は、第2幕までなんだか生い立ちがよくわからない重たいイケメン(本人に重たさの自覚がない爽やか重量級)。どうやら父親とはあまり仲が良くないらしい。


父親と色々あってデンマークからイギリスにやってきてオックスフォード出て花屋になり、フラワーアーティストとして活躍中だが、活躍する姿はあまり描かれない。
というか、アーティスト同士の戦いとかそういうのはなく、仕事が日常の風景として描かれている。
普通に考えて普通に働いて、普通に休んで、普通に計画を立てて経営しているので問題が起こらない。


物語の背景にはヨーロッパの移民問題的な何かがあるようで、ゆきちゃんは不法就労のクロアチア人。スマホ持ち。
色々あってみりお君と知り合い、1幕で交流を深めていたようだが、1幕は寝落ちしたのでよく覚えていない。台風来てたし、低気圧のせいかもね。
しかし1幕の最後だけしっかりと見たが、不法就労先で対立民族の男に地味な嫌がらせと通報をされたゆきちゃんが雲隠れをするものの、みりお君に借りた本を返しに店にやってきて再会する。
その際、小さいころに弟が地雷で亡くなっていることを語る。過去の戦争で使われ、残されていた地雷でだ。
戦争の傷跡が残る祖国から、イギリスに出てくればいいことがあるかもと思っていたが、「やっぱり幸せになることなんかできない!なってはいけないの!」
と激高するゆきちゃんを慰めたところ
「あなたに何がわかるのよ!」
と切れられ、突き飛ばされショックをうけるみりお君!


さすが、外さないぜ!
庇護が必要なのがどっちだかわからない、かよわさ。
これ、もう立派な芸風だよ。


そうこうしているうちに1幕は終了し、この作品の本質は2幕にあった。


つづく

宙組:神々の土地/クラシカルビジュー②

ついに先週、宝塚大劇場をまぁ様が卒業。
まぁ様ってリアル愛咲ルイ先輩で、観ていて楽しく、お茶会参加して楽しく、トーク番組も楽しく、若手の頃は知らないが最近は失言も言いまつがいもほぼなく、結構レアなキャラだと思う。


というわけで、ついに東京宝塚劇場に来るぜ!宙組!


今回はさまざまな手を使ってSS席とS席を確保。
千秋楽はライブビュー。その後はどこまでも追い続けるので、早く活動開始してくれ。


来るべき東京公演に向け、脳内整理。


ウエクミ先生お得意の、途中から心情を表すデュエットダンス。
今回はもちろんうらら嬢。
まぁ様の方が実年齢かなり上なのに、「翼ある人々」同様、年上女性の余裕ではないな、
意図的であるかどうかは不明だが、年上であるが故の背徳感とコンプレックスがにじみ出ていて、結果的にナイス演出。
最初っからドミトリーを受け入れることはできないと、きっちり線を引いている。
最終的には、今宵一夜なわけだが、亡命せずにロシアに残るということは死を意味するわけで、そこまで拒絶したらもう逆に嘘くさいすぎるわ。


どうしても印象に残ってしまうラスプーチン。
歴史上でもさまざまな物語でも破戒僧で、ユスポフ候にも発情するような絶倫キャラだけど、今回のラスプーチンはいうなれば「MW」の結城美智雄。
「あは!僕が死んだら地球になんか用はないから、一緒に滅ぼすよ(笑)」
みたいな。
「僕が死んだらロシアになんか用ないから、一緒に滅ぼすよ(笑)
懸命に働いてるのに、医者にすらかかれないこんな世の中じゃ。
そして何か祈ってみたら超能力がありました(笑)」
こういうのが一番危険だよね。
そんなラスプーチン。東京ではどれくらい発展していることか。


ドミトリーは正直つまらない男だよ。ユスポフ候の「ママ」ほどインパクトのあるセリフがあるわけでないし、割と流されまくって、皇帝にも好かれてユスポフ候にも好かれて、皇太后にも好かれて、生意気な小娘にも好かれてどこにもつけずにフラフラフラフラ…。自分で決めた行動は今宵ーくらいだし。
史実では数少ない生き残りのロマノフ。その後の人生はココ・シャネルのヒモだったか?


でもまぁ様だから、かっこいいけどね。


つづく



月組:All for One

イケコ脚本ということであまり期待せずに観劇したものの、思いがけず面白かった。


剣をもった群舞から始まり、剣の稽古、酒場と、非常に男くさい場面が多い。
デニムでみんな揃いのお衣装が普通にかっこいいし、主要人物たちのキャラ設定がしっかりと決まっていてその雰囲気が醸し出されているので、顔隠しててもシルエットでも埋もれない。(原作でしっかりとイメージが出来上がっているからかもしれないが)


なんとなく、駄作・るろ剣と同じ演出、流れじゃね?ジェラール邸?
って感じの部分も多いのだが、ちょっとベクトルずらしてコメディ調を強くすると、やはり飽きない。
るろ剣は原作の人誅編と作者も嫌っている星霜編のイメージだったのか?
こんな感じで作ってくれてよかったのに…、決めるとこさえ決めれば…。



今回の作品はかなりの場面が印象に残る。
懺悔室でのアラミスとダルタニアンのやり取りで、Graphで本人たちも気合いが入っている場面と語っている場面。
「誰に惚れたんだ?」「国王陛下だ!」「…男か。そっちの方面は専門外だ!」
やりとりのテンポの良さは、なんか非常に引き込まれる。


2幕後半、ルイのソロ。
今までギリギリの綱渡りで男の王を演じてきたルイが、ダルタニアンにあって女性としての自分を自覚して、ついにプッツンしてしまった時のソロ。
もう、ダルタニアンに会えて良かった!もう少しの辛抱だよ!
と、言ってあげたくなるくらい切実。
初々しさはなくなりつつあるが、本当に良い娘役だぜ。


トシさんのひげ。
ひげ初めて、だと…?もう身体の一部になってるじゃない。似合いすぎじゃない。
内心バクバクだったらしいが、顔色変えずに、チャンチャンチャンとなぎ倒していく姿は実に優雅。
ディナーショー、超見たい。


蒼紫様再び。
しかも弱い。情弱っぷりも蒼紫様を踏襲。
美しくて清潔感あるアホって大好き。


銃士隊の中の、オールバックでロン毛の客席から見て、オープニングでトシさんの後ろ、右の方にいた下級生が気になって仕方がない。
ちょっと、まっつさんぽい顔で、渋い役いけそうな感じの。


イケコなので1幕は若干間延びというかダラっと感が否めないが、2幕の巻きっぷりですべて回収。気が付けば色々な生徒に見せ場があるのは相変わらず。


宙組みたいなキレイなピラミッドもいいけど、みなで作り上げる系の雰囲気も大好き。
上級生二人の技巧者たち、やっぱ半端ねぇ。


若いダルタニアンと、されを支える三銃士の構図と被って、すとーんと腑に落ちる作品だった。


で、次のイケコは「ポーの一族」か…。
不安要素しか感じねぇ!
みりお君のビジュアル、美しいけど、あれはエドガーじゃなくてジルベールや。
萩尾望都原作で花組なら、ポーより「トーマの心臓」やってほしかった。
小柳先生で。
トーマ:みりお、ユーリ:かれーちゃん、オスカー:世界の彼氏とか。