copepodaのブログ

観劇、スカステ、DVDなどの感想をつづる。

宙組:エリザベート③

⑦ルドルフ(あっきー)
一番見たかったあっきー版。
貴族に違和感なしの耽美な容姿を最大限生かしてましたわ。


きっと賢く、貫禄もあり、民衆には好かれて、でも孤独でふらふらしてて調子良い革命家たちに乗せられちゃって黒天使におちょくられて人身御供になって…。
今回もふぉんだりけったりな展開ね。


カフェに兵が入ってきた時の「みんな逃げろ」が、団地のちびっこギャングたちにいいように使われちゃってる学級委員みたいで痛々しさ満載。


シシィにシカトされ閣下に捕まりピストル自殺、した瞬間に粉々に砕けそうなくらい命の灯が弱ってましたよ、彼。
「疲れた…」ってセリフがとてつもなく似合いそうな耽美ルドルフ最高。


(おまけ)ルドルフは役替わりでずんちゃん、りく君と、3人それぞれ好評なようで、結構ね。
ルドルフあっきー版では革命家の激しい方とそうでもない方がりく・ずんだったけど、激しい方のりく君が割とはまってた。
この人も革命が思い通りにいかないことからテロリスト思想にとり付かれていき、後には引けなくなっちゃったんだな、と。
「女狐め」とか言ってないで、エリザベートを味方につければ強力なプッシュになってたわけだし。それすら考え付かないくらい病んでしまったのね…。最初は若気の至りで反発してもいいけど、最後は結構いい歳なのに、いつまでも血気盛んすぎる感じ。
本当は熱い男なんだな、りく君。。。


つづく


マダムたちと側近の破廉恥なふるまいについて語るまで終われない

宙組:エリザベート②

④真風フランツ
若いころの耽美マザコンから、妻にそっぽ向かれる晩年まで熱演。
全体的に控えめな印象が強く、その分閣下との最終討論は迫力満載。
「言ってやった!」感と閣下の「違う!」がよいタイミング。本当にこの組替えは良い結果をもたらした…。
シシィに対しては申し訳ない気持ちのが強くなっていたのか、それでもついに言った
「一度私の眼で見てくれたなら」がじんわり来たよ。


最終討論が次に控えているので早着替えが難しいんだろうけど、できれば晩年はもう少し貫禄がほしいので、ちょっと上半身に肉をつけてもいいかな?という感じ(肉襦袢的な何か)


しかし最初っから最後まで一切かみ合ってない夫婦だったわ。


⑤もんち氏全般
歌馬なことは知っている。
ヴェンディッシュ嬢がめっちゃかわいいかった。。。
歌い出しは花組の仙名さんとちょっと似ていたけれど、男役にもかかわらず高音の美しいこと美しいこと…。


このシーンの意味が今までよくわからなかったんだけど、ヴェンディッシュ嬢に偽物扱いされたことが実は皇后としての自信のなさの核心をついていて、でも皇后らしいふるまいをやめるわけにはいかなくて、中途半端な返ししかできなかったのに扇を渡すだけで嬢の癒しになるという自分が自覚する自己との乖離というか、なんか。


宝塚版の生舞台は初めてだけど聴き慣れた・見慣れた作品ではあるのでちょっと余裕があって深読みできたのかもしれない。が、今回の観劇でこの場面への見方が変わった。
花組版はシシィが気の毒な娘さんをいじめているようにしか見えなかったから…結構ショッキングな変貌。


親戚のおじさんも持ち前の美声でいい味だしてたね!「うちの子だって!」「皇帝の親戚に」「偉くなりすぎフンガー!」といった親戚の小物感が後に来るゾフィー皇太后の威厳を際立たせてたんだぜ。


⑥ヘレネかわぇぇ
花組版もそうだったけど、ヘレネ普通にかわいすぎる。世界の美女も兼任?
こんな優しそうな姉さんに恥かかせて失意のどん底に突き落として、シシィってのは本当に嫌な女だぜ。


姉さんにべたべたな舞良女子も相変わらずの美声。


実際のマクシミリアン公爵夫婦はヘレネのみに皇后教育を施していて、シシィはほぼ放置に近かったとか。
舞台では無邪気にプロポーズを受けるけど、実際には母親にかまわれている姉への反発と嫌味が強かったんじゃないかな。普通ならハプスブルグの皇后とか断るっしょ。
しかも(当時の)きちんとした教育を受けていなかったシシィが子供の教育なんかできるわけもなく、姑への反発で子供を他人から遠ざけた挙句に放置した結果があれか。


学問とかそういうのとは別の次元で、幼少期の教育の大切さがわかる気がした。
むしろそういったところができてないと、勝手にハンガリーについたり、大臣任命したりと、厄介なことばっかりするようになっちゃうわけね。

宙組:エリザベート①

どうせ東京公演はチケット取れないと思い、宝塚大劇場に遠征。
遠征しただけの甲斐があったエリザベート。。。


①シシィ
みりおんの演技力と歌唱力は語る必要もないが語らずにいられない。
みりおんは庶民的というか、そんな感じで、実際に発表の段階でも「公務を忠実に果たしそう」感があったのだけれど、それを逆手にとったシシィ像が出来上がっていた気がする。
持ち前の親しみやすさが少女時代に全面に出ていて、そこから少しずつ他人に対して心を閉ざしてしまい、どんどん引き返せなくなっていくように見えた。本来は人懐っこかったシシィが深めていった孤独感が逆に民衆を惹き付ける皇后に変貌していくようで、鏡の間と戴冠式、美しすぎでしたわよ!!!
安定の「私だけに」。安定して聴けるだけでもすごい。
この歌は歌詞を見ると、とんでもないバカ皇后なんだけど、少女の声から大人の声に変わっていくことでシシィが自分なりにその世界で生きる道を探す決意をしたことが感じられた!みりおんの逞しさが垣間見えたよ!


過去のエリザは映像でしか見たことないので比較はできないけれど、みりおんシシィはルキーニに刺される瞬間まで、本当に自分の道は自分で選んでいた。
史実上はそれが良かったかよくなかったかは分からないけれど、政治的には器用なくせにプライベートでは不器用で、本当に生きにくい人だったろうなぁ。周りも迷惑だったろうなぁ。


②トート閣下
黒髪最高じゃないの。
本当にジャック・バルバロッサ・バンコランだわ、これ。(バンコランはめっちゃかっこいいので、これ一応褒め言葉になるはず!)
シルエットと後ろ姿も完全にバンコラン。


少々喉の調子が悪いのかな、って感じでたまに声がかすれていたのが心配。
オラオラ系のトート閣下、でもその強引さがなければ、最後にシシィはあんなに甘えられないはず。
オラオラだけでなく、緩急つけて迫ってくるから、常に新しい感じで、あのアップダウンの激しさも、シシィの精神にリンクしている?
シシィが激高するとオラオラ閣下で、怒鳴ったりして少しは落ち着くとドアから丁寧に出ていく礼儀正しい閣下に早変わり!


トータルでは、色々と頑張ってみるけれど、シシィに怒鳴られて結構素直に引いていく閣下がかわいらしゅうございました。
まじで足なげーな!


③ルッキィィィーニ!!!!
色々言われているけど、愛ちゃんルキーニは好き。良かった。


どうもテロリスト役ってすかしたような、何かしら芯があってうんたらかんたら…みたいなのが多いような気がするけれど、愛ちゃんルキーニは、マジキチだった。
「あは、あははは」(ち〇まるこ・山田)に始まり、「アハ、アハハハ、としちゃんだよぉ★」(田原俊彦)を経て、最終的には「グヘ、グヘヘヘ」(稲中・前野)へと進化を遂げなさった。
素肌に蝶ネクタイがまぶしい!
滑舌の悪さは本人も重々承知しているだろうから、それをカバーする演出に持って行ったかな、という感じ。嫌いじゃないぜ!
こんなルキーニを待っていた。精神錯乱のふりをする精神錯乱者。


ただし、ルキーニはエリザベートという劇の解説者でもあるから、やはり初見の人に聴きとれないようではよろしくない。
個人的にはあの声と喋り方は好きだけど、もう少し練習が必要かなとは思う。
来年で男役10年。観客への甘えを払拭すべき時期には来ていると思う。


とはいえ、TOPHATに引き続き変態イタリア紳士だったので、多少舌っ足らずでもまあいいか。
嫌いじゃないぜ!愛月ルキーニ。むしろ大好きだぜ!


つづく


語るべきことが多すぎる。